金星の太陽面経過の解説(2012年6月6日)
6月6日は、8年ぶりに金星の太陽面経過が起こります。
日食と同様、太陽の観察には危険が伴いますが、安全な観察方法をよく知って、この珍しい現象を観察してみましょう。
金星の太陽面経過について
金星の太陽面経過(注)は、太陽と地球の間に金星が入りこみ、地球から見たときに金星が太陽面上を移動していくように見られる現象です。2012年6月6日にこの現象が起こり、日本全国で始まりから終わりまで見ることができます。金星の太陽面経過は、前回2004年6月8日に起こっており、今回はそれ以来8年ぶりとなります。金星は、地球と同じ「惑星」の仲間で、太陽の光を反射して輝いています。夕方や明け方にとても明るく輝いて見られ、「宵(よい)の明星」や「明けの明星」と呼ばれます。しかし、地球から見て太陽の手前にあるときには、太陽光の当たっていない影の部分が見られます。このため、太陽面経過では、太陽面上を黒くて丸い点が移動していくように観察されます。
注:「太陽面経過」は、「日面経過」「日面通過」「太陽面通過」とも呼ばれます。
金星の太陽面経過のようす
※予報時刻は、科学館付近におけるものですが、市内では大きくずれても1秒程度です。
川崎市内での様子
開始は早朝 金星が太陽面にさしかかる第一接触は、7時10分54秒です。その後、金星は太陽面の内側へと移動していきます。太陽の縁の内側にすっぽりと入りこむ第二接触は、およそ18分後の7時28分30秒です。
現象は6時間以上
金星が太陽の内側に入りこんだ後は、徐々に中心の近くへと移動していきます。金星が太陽面の最も内側に入りこむ最小角距離は、10時29分39秒です。
これ以降、金星は少しずつ外側へと移動していきます。そして、13時30分00秒に、再び太陽面の縁にさしかかります(第三接触)。そしておよそ17分後の13時47分26秒に、金星が太陽面から完全に離れ、今回の太陽面経過現象が終わります。
当日の見え方
金星の太陽面経過の安全な観察方法
太陽光線はとても強烈で、金星の太陽面経過を直接見ることは危険です。ほんの短い時間でも太陽を直接見ると目をいため、最悪の場合には失明してしまいます。必ず正しい方法で太陽の光を弱めて安全に観察してください。
日食観察グラスを使う
日食の観察と同様に、日食観察グラス(※注)という専用の器具を使用すると、太陽の光を安全に弱め、金星の太陽面経過の様子を肉眼で観察することができます。これらは、紫外線、赤外線、青色光(ブルーライト)と言った目に有害な光線を弱める素材でできています。さまざまな形態のものが販売されています。これらを使うと、太陽面上を黒い小さな点が動いていく様子を見ることができるでしょう。注:日食観察グラスは、製品によって「日食グラス」「太陽観察めがね」「日食観察フィルター」「しゃ光板」などと呼ばれます。 日食観察グラス
日食観察グラスを使う時のポイント 日食観察グラスも、間違った使い方をすると大変危険です。正しい使い方で、観察にのぞんでください。
- うしろを向いたり下を向いたりして、太陽を見ないようにし、日食観察グラスを正しく顔(目)にあてましょう。このとき、顔とグラスのすきまから太陽光が直接目に当たらないように気をつけます。
- 日食観察グラスを顔(目)にあてたまま、太陽をさがして太陽面経過を観察します。
- 日食観察グラスを使っていても、30秒に一度くらいは、太陽から目をそらして、休み休み観察するように心がけましょう。
この他、使用の際には、製品または添付文書などにある「安全性に関する内容や表示」を確認してください。また、使用説明にある注意事項にしたがって、使用してください。
これらのポイントに注意して、安全に観察しましょう。 日食観察グラスのお求め方法 望遠鏡ショップ、書店、家電量販店などの一部で取り扱っています。当館ミュージアムショップでも販売予定ですが、数に限りがありますので、あらかじめご了承ください。
次のような方法は危険です。
日食観察グラスの代わりになると思われがちな、以下のようなものを使って観察することは大変危険です。絶対におやめください。
従来、使用されてきた方法も、ほとんどが危険です。ご注意ください。
日食観察グラスの代わりになると思われがちな、以下のようなものを使って観察することは大変危険です。絶対におやめください。
従来、使用されてきた方法も、ほとんどが危険です。ご注意ください。
- 色つき下じき(専用品を除く)
- すすを付けたガラス板
- 色ガラス
- サングラス
- ファッション用グラス
- ゴーグル
- 感光したネガフィルム
- カメラ用のND(減光)フィルター
- 重ねた偏光板
木もれ日やピンホールでは観察できない
金星の大きさが太陽に対して大変小さいため、日食の時の観察方法である「木もれ日」や「ピンホール」を使った方法では、金星の太陽面経過を観察することができません。イベントなど
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金星の太陽面経過の当日は、アストロテラスにてこの様子を観察する予定です。
詳しくは後日お伝えします。